万年筆の生活誌ー筆記の近代ー

刊行:2016年
A4版・192P

万年筆は明治時代に日本に輸入されはじめてから、それまでの毛筆に代わって、公的な筆記具として広く用いられてきました。いわば近代日本の筆記を支えた道具ということができます。この展示では、その歴史や製作に必要な技術、装飾、さらにはふだんの暮らしのなかでの位置づけなどについて、さまざまな角度から光をあててみます。
第1部では、明治になって輸入された万年筆が人びとをとらえ、やがて国産化されていった様子について、その技術に目配りしながら見ていきます。

第2部では、近代の暮らしのなかで万年筆がはたした役割や位置について、販売の様相、使用された諸場面、特に個人の表象として万年筆が用いられてきたことなどについて取りあげます。とりわけ、進学や就職にあたって万年筆を贈答すること、持ち歩いて、日常的に用いることが、一種の通過儀礼の意味合いを帯びていたことを確認し、万年筆にこめられた人びとの思いを掘り起こすようにします。

全体を通じて、文字を書く道具としての万年筆が、近代の庶民生活のなかで担ってきた多様な意味を考え、万年筆をめぐる文化を歴史のなかで改めて考えてみます。(国立歴史民俗博物館HPより)
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