惜しくも開催中止となってしまった国際企画展示「昆布とミヨク」の展示図録です。
展示の様子は、
歴博公式YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
2020年3月
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国立歴史民俗博物館と韓国国立民俗博物館は、両館の学術研究交流の促進を目的とし、2015年より国際交流事業「日韓地域研究の実践的展開」を進めてきました。また同時に共同研究「海の生産と信仰・儀礼をめぐる文化体系の日韓比較研究」を立ちあげ、3年間、日本と韓国の各地を訪れて準備研究を行いました。その成果を国際企画展示「昆布とミヨク―潮香るくらしの日韓比較文化誌」として発表します。この展示は、両国の国立博物館が共同で企画を練り、日韓でほぼ同じ内容でおよそ400件の展示を行う画期的な試みです。すでに韓国では2019年10月2日(水)〜2020年2月2日(日)の日程で公開されており、好評を博しています。
昆布とわかめ(ミヨク)。日本でも韓国でも、どちらもなじみ深い海藻で、古くから日々のくらしの糧とされてきました。一方で、儀礼食や贈答品という観点からは、日本では昆布が、韓国ではわかめが重要な役割を果たしており、異なる文化的意味を持っています。海底の岩に根を張って、長く青黒いその姿を揺らす昆布とわかめは、似ているけれども、どこか違う。違うけれども、どこか似ている。日本と韓国との関係を、昆布とわかめに象徴させることができるのではないか、という発想から、本展示は出発します。
列島を成す日本と半島を成す韓国は、ともに長い海岸線を持ち、共通する海洋環境も多くあります。一方で、韓国西南海の広大な干潟や日本が面する太平洋など、独特の環境も存在します。また、長い交流の歴史に裏づけられた東アジア的文化基盤を共有するとともに、独自の文化的展開や技術的発展が見られます。本展示では、日本と韓国の、海をめぐるありふれた日常の歴史とその移りかわりに、類似と相違という観点から光をあてます。先人たちが互いに影響しあい、主体的に相手の文化を受けいれてきた躍動的な姿をご覧ください。
(国立歴史民俗博物館HPより)